Romance

くたびれた 着飽きたシャツの裾を手で整えて笑って
未払いで使えない携帯を折りたたむ

玄関をくぐり目にするは人気のない寂びたバス停
死にそうな顔して立ってた君を見ていた

伸びた髪が嫌と言うほど過ぎた日数を示しても関係ない
それを決めるのは君じゃないし 権利は俺にあるんだし


見上げる君を見下ろし手を添え聞いた「お名前は?」
泣きながら拒んでも外には出せない
この部屋の異常は誰も気づきやしないから
どれだけ泣き喚いてもいいぜ


ほら素直になって 頼むよ逆らわないで いい子だな
無理強いさせたくないんだ 自分で広げて
後始末なら書きだせばいいけど
もしも何てのがもしも何てねぇ


お手つきを繰り返した日は もう一度 躾し直して
現状が何たるかを俺が言い聞かせる

世間では一人歩きしたテレビが相変わらずのまま
今一度 考えてみても後には引けない

罪悪感 取り払うのは殺すよりも簡単で
俯いては希望見出し笑う君に足元を掬われそう…でも

占領された居場所を軋ませ言った「逃げるなよ」
君は怖がりながらでもしがみつく
でも信じられない そこまで器用じゃないから
騙そうと試みるだけ無意味


ほら諦めさせて 慣れない目線で刺して
もどかしさ増してくだけの現実に興味はないから
やる事やって『本音は渡せない』
何て言葉に抉られた胸

見上げる君を見下ろし手を添え聞いた「消したいか?」
そんなに嫌がるなよ 中には出さない
でも俺の異常を君は見逃してた
もう好きなだけ泣き喚いたらいいぜ


ほら買い換え時だ 慣れない操作に泣けよ
もどかしさ増してくだけの容量に興味はないだろ
後始末ならゴミ箱に入れるだけ
なのに泣きそうな顔して悲惨だな


興味だけ一人歩きして無駄食いは相変わらずのまま
今一度 考えなおせよ 俺は引かない


俺:本体ソフト
君:購入者



2012.05.20
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