Nightmare

【手違いの悪夢】

黴た壁と錆びた鉄格子
今夜も爪先に当たるのは反射した この

立ち込める嗅ぎ慣れた甘い香水は偽装
浴びる声に酔えないもどかしさだけ感じる

名前の代わりに付けられた
札の上を遊ぶ数字は残酷だが
これすらない外で見つめる
柔い目に映るのは自分だけなのだと

愛して病まない最愛とか言う
何ともアホらしい生身の者を
息絶えるまで見届ける為だと
捕まえられたフリをしてる心
見違えるような土気色の
皮膚の下を拝む為に研ぐ刃物も
よくなる切れ味と反比例して
頃合を見過ごすのが 愛だった


黴た壁と錆びた鉄格子の中で
見守る愛などに飽きる性格 真の

【愛に正義などない】

悪さをした馬鹿にも解るように教えなければ
たくさんの時と引き換えに愛された事実がある
加害者は彼女だと彼等は正義 振りかざすが
愛に間違いなどない事 彼女で見せましょう

肌蹴た衣類の中 幾十にも重なる線は
黴た部屋の中身さながらよく似合う不様さです
さぁ お立会いの方 よく御覧下さい
彼女はただの被害者であり愛の名の下に生きてる

愛して病まない最愛の彼に
愛し愛される悪夢に魘され
出口を探して彷徨う壁には
自分で閉ざした扉だけがあり
愚の骨頂だと不適に哂われ
笑い返すくらいしかできないと
知ってて馬鹿にした目で
責めるのは愛する故ですか


押し込んだ愛は気が触れた様に
好からぬ期待が身体を巡って
溢れてく水にまた部屋は黴て
元の部屋になど戻せはしない

こうして間もなく最愛は果てる
嬌声を口にする暇なく鳴く
愛してるという言葉の価値より
深くこびりつく最愛の教え
間違いなどないのが愛なのだと
愛には正義など関係ないと
加害者は愛に飢えてる者だと
被害者は愛の名の下で死ぬと


被害者は彼女だ と彼らは私を取り押さえ
耳元で囁いた言葉 愛とは罪深いもの
私は罪なのだとその時ふと我に返され
思わずこう返してしまう 彼女も加害者 と

笑い飛ばされた後 向かわされた扉の前で
罪を背負いながら彼女は見張る立場だそうです
愛されてた私はどれほどの罪深さですか
愛し続けた彼女こそが本当の愛ですか



2012.01.04
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