主従式

誰もいないこの式は二人だけの秘密にしよう
誰も見ちゃいないこの式で二人だけで誓いを交わそう

ずっと変わらないなんてないが
ずっと変わらず在り続けたい

月が雲に隠れる事があれば星が流れる事もあるし
風が吹いたら前髪を気にしてすねる
足が痛くなる事わかりながら見栄える靴を選んだり
寒々しい服も赤い耳も俺にだけは映る

晴れの日も 土砂降りの日も 呼ばれなくてもわかってる
午前二時過ぎの甘い物の買出しも可愛くなる程

いつかなんてものはない事を
いつかきっとと望んでしまう

俺が長い髪が好きだと言えば伸ばし続けてくれた
鬱陶しい と何度も 切ろうかな と悪戯に笑う
抜いた色味に足した濃い桃色が流れ薄まるころ迎える
俺の誕生日も変わらず笑ってて

傷の治りが遅くなって夢で子供の泣き声がして
誰も気にしてやらないくせに否定だけはされて
傷つかんフリが上手くなって
非常識だ と無理解
だから 好き も口をつぐんだ事を俺だけは気づく

今日この日だけは 一日だけは言われなくてもわかれよ
午前二時過ぎの寝落ちそうな甘えた声で聴かせてくれ

風のない夏も 曇った冬も 俺にしか見えなくても
どこへ行く時も手を繋いでいよう
死が二人を別つまで

誰も認めないこの式を二人だけのこの部屋でしよう
喉元に刃物を当て合って秘密の誓いを立てよう



2022.01.09

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