先駆者の傘が撥ねる
開いた傘で撥ねるように計る距離
当たらず過ぎ去った
風景画を覚えていられないように忘れる事もないまま
窓の向こう 曇り空 天気予報は晴れ
降り出した雨が窓を叩いて泣いた
匂う蒸した土 荒れる風 進路は変わらずで
空っぽの冷蔵庫を埋めるには出かけるしかない
出鼻を挫くように撥ねる雫が足を汚す
舗装された歩道の端 追い抜く自転車を睨む
塞ぎ込むように傘を傾けて顔を隠す
恨んでもしかたない
風景だと言い聞かせた片隅で君の事を思い浮かべた
もうあれはいつだろう 付き纏う 誰視点
にわかには信じ難い納税額に怯えるような
ままならない事だから 余計 我慢ができず
会えはしない 会いたい でも会わずにすんだとも思った
似た別の何かでも俺は もしも を見逃せない
もしも俺が君を見たら思わず足を止めるだろう?
背にはりつく服が苛立ちを装う
空想に耽る間もくれないか…
滑稽だな そんなモノに全てを賭けたんだ お互い様か
騒音は蝉時雨 きっと必死に生きているんだろう
水が切れて萎れかけたところで降り出すのも雨
開いた傘が計るのは二人の距離
中らずも遠からず
時代という言葉で許されるなら誤ってしまいたくなる
ぶつかり合う視線を先に逸らした俺の負けだ
語らず過ぎ去った風景でいい
もしも君を俺が見ても きっと追い抜いてしまう…
2021.07.28
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