お伽の国であれたなら

開けた雨戸 覗く草木の色に
いつか誰かと見たと過る記憶の破片

目まぐるしく走り抜け移る時代が騒ぐ
捲くし立てるように私を踊らす
逃げる季節 見送る
影を足で踏めば捕まえたような
そんな事で惹き止める事ができたとしたら…
タラレバは尽きず

涼む日陰 頬を撫で去る風に笑われ
忘れている事さえ忘れていたと気づく

ポタリと雨が落ちだし蝉が静まり返る
水溜りに写る私と貴方
ひとつひとつ踏締めていく
二度と貴方を離さないように
ひとつひとつ積み重ねた思い出が増えていく
夢の中で

見えず 消えず ただ忘れていく
月を眺め交わした笑みも
ひとつひとつ積み重ねた思い出が逃げていく
夢の中で逢えた事さえも思い出せず…



2020.08.02

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