世界に誰かがいる

毛先の分かれたどちら側でもいい
もう少しで切り落とす予定だ どうでもいい

種類分けしたい だけど君もいない
そのどちらにも君は入らない

何も持たないから もう勝たなくてもいいんだぜ
いいんだろ いいんだよな
何とも戦わなくとも許される 何も持ってはいないから

夢のようだ 誰も俺を責めない
ささやかな思い出が招く崩れそうな足元が震える

種類分けしようにも種類がない
そのどちらにも君は入れない

何も持たないから頑張らなくてもいいんだぜ
いいんだろ いいんだよな
何も持てないから義務も果たす気はない
権利を持たないから

巻き込まれないように傍目に楽しむ
行儀よく 礼儀よく 見てるだけ
何も言わないからもっと燃え上がれ
どれの側でもないから関係ない

いつものように そこに誰もいない
一人の世界は静かな雪景色とよく似てる

嘘のようだ
寄せては返す群れが視線を飛び交わせる
君の世界に誰かがいる




2018.08.10
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