予知夢

もう一枚をもう一枚だけ
もう一枚だ
もう一枚だけくれよ

俺は昔の価値観なんだって
まるで俺は今いないみたいな口ぶりで誘う
薄汚く同化した日常

忘れられないように甘い汁を啜らせたんだぜ

「初めましてですね」
傷つけ方をよくよく知っている
笑った目の奥を見逃さない

もう一枚はもう一枚だろう?

「切って足して二で割った二枚舌の三枚目」
もう一枚さ
もう一枚だけ

「きっと勝つとふんだんです」

今はそんな命がけどうこうの前に賭ける命がない
お前次第で立ち向かってやらん事もない
これみよがしな自重

尊くなくて結構だ
犠牲になりたいわけがない

「人間みたいなんですね」
乾いた笑みでも何でも溢せよ
名誉なんて要らない
死にたくない

ゴミをゴミ箱に捨てるように卓上の菓子をつまむ
世界が切り分けられて見えるのはもう夢じゃない

忘れた頃にやってくる請求
見過ごせないだろう?

「誰のせいにしますか?」
その場その場で言う事が違うというのが主軸だ
ブレないぜ

鏡張りの部屋で過去を語ればどれも同じだろう?

「印象って大事ですね」
大体が嘘と思ってるんだな
その舌は嫌味を嗜むためのものか?




2018.04.30
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